海外のレシピや番組を見ていると、「パフペイストリー」「ショートクラストペイストリー」「パート・ブリゼ」など、色々な名前の生地が出てきます。
名前がわからないと『日本で言うパイ生地はどれ?』『これとこれは同じじゃないの?』など、こんがらがってきます。
今回は、生地ごとに
- 特徴
- 基本の作り方
- よく使われる料理
- イギリスとフランスの呼び方
をまとめてみました。
パフペイストリー(Puff Pastry)

特徴
パフペイストリーは、バターを何層にも折り込むことで層を作る生地で、焼成時に内部の水分が蒸気となって大きく膨らむのが特徴です。
そのため、軽くて空気を含んだサクサクとした食感に仕上がります。
層が細かく均一であるほど、繊細で美しい仕上がりになります。
日本で『パイ』と聞いて浮かぶのがこのタイプの生地です。
基本の作り方
- 小麦粉に冷水と塩を加えて混ぜる
- 冷やして伸ばした生地で、シート状にしたバターを包む
- 伸ばして三つ折り→休ませる
- 90度回転させて伸ばして三つ折り→休ませるを繰り返す(4〜6回)
- バターが溶けないよう手早く行い、折り込んだらその都度冷蔵庫で休ませる
よく使う料理
- ミルフィーユ
- アップルパイ
- ヴォロヴァン
呼び方
イギリスでは「パフペイストリー」と呼ばれますが、フランスでは「パート・フィユテ(Pâte Feuilletée)」と呼ばれています。
どちらも同じ生地を指しており、名称が異なるだけで作り方や構造は同じです。
ラフパフペイストリー(Rough Puff Pastry)

特徴
ラフパフペイストリーは、パフペイストリーを簡略化したような生地です。
バターを均一に折り込むのではなく、あえて塊を残したまま折りたたむことで、不均一ながらも層のある仕上がりになります。
パフほど大きくは膨らみませんが、ザクっとした素朴な食感が特徴です。
似た生地にフレーキーペイストリー(Flaky Pastry)がありますが、ラフパフに比べ脂肪分がやや少なく密度が高いため、カリッとした食感になります。
基本の作り方
- 小麦粉に冷たいバターを角切りで加える
(フレーキーペイストリーはバターをすりおろす) - 指で軽くつぶす(混ぜすぎない)
※フードプロセッサーでも◯ - 水を加えてまとめる
- のばして折る→冷やすを2〜3回繰り返す
- バターが溶けないよう手早く行い、折り込んだらその都度冷蔵庫で休ませる
よく使う料理
- 簡単パイ
- ミートパイ
- タルトの上生地
呼び方
イギリスでは「ラフパフペイストリー」や「フレーキーペイストリー」といった呼び方が使われ、アメリカでも「フレーキーパイ生地」という表現が一般的です。
厳密な定義の違いはありますが、いずれもパフペイストリーの簡易版という位置づけになっています。
フランスでは「パート・フィユテ・ラピド(Pâte Feuilletée Rapide)」(速成パイ生地)と呼ばれます。
ショートクラストペイストリー(Shortcrust Pastry)

特徴
ショートクラストペイストリーは、層を作らずにバターを粉にすり込むことで、サクサクとした軽い口当たりと、ほろっと崩れる食感を生み出す生地です。
甘くも塩味にも調整できるため、タルトからキッシュまで幅広く使われます。
焼き上がりはしっかりしていながらも軽く、具材を支える土台として優れています。
基本の作り方
- 小麦粉に冷たいバターを加える
- 指でこすり合わせて砂状にする
※フードプロセッサーでも◯ - 少量の水を加えてまとめる
- 冷蔵庫で休ませる
- バターが溶けないよう手早く行い、折り込んだらその都度冷蔵庫で休ませる
よく使う料理
- キッシュ
- ステーキ&エールパイ
- タルト
- パイの土台
呼び方
イギリスでは「ショートクラストペイストリー」と呼ばれ、フランスでは「パート・ブリゼ(Pâte Brisée)」と呼ばれます。
どちらも基本的には同じ構造の生地で、特に甘くないタイプを指す名称として使われています。
パート・シュクレ(Pâte Sucrée)

特徴
パート・シュクレは、ショートクラストに砂糖と卵を加えた甘いタルト生地です。
生地はやや締まりがあり、焼き上がりはクッキーのようなサクッとした軽い歯ごたえになります。
甘いフィリングと相性が良く、見た目も整いやすい生地です。
基本の作り方
- 室温に戻したバターと砂糖を混ぜる
- 卵を加える
- 小麦粉を加えてまとめる
※アーモンドプードルを加えることも - 冷やしてから伸ばす
よく使う料理
- フルーツタルト
- チョコタルト
呼び方
フランスでは「パート・シュクレ」と呼ばれる生地で、イギリスでは明確な別名称は少ないものの、「甘いショートクラスト」として扱われることが多い生地です。
パート・サブレ(Pâte Sablée)

特徴
パート・サブレは、サクサクとした食感とバターの風味が特徴です。
パートシュクレと違い、先にバターと粉を混ぜ合わせて砂状にするサブラージュという技法で作られます。
タルト生地でありながら、クッキーに近いリッチさがあり、風味の良さが際立ちます。
基本の作り方
- 冷たいバターを角切りにする
- 小麦粉や砂糖を加えて、バターとすり合わせてサラサラの状態にする
- 卵を加えてひとまとまりにする(練りすぎない)
- 冷蔵庫で休ませる
よく使う料理
- リッチなタルト
- クッキー系土台
呼び方
フランスで使われる名称で、「サブレ(砂のように崩れる)」という言葉の通り、食感を表した名前になっています。
ホットウォータークラストペイストリー(Hot Water Crust Pastry)

特徴
ホットウォータークラストペイストリーは、熱湯と脂を使って作るイギリス特有の生地です。
一般的なペイストリーとは違い、柔らかいうちに成形し、冷めるとしっかりと固まるため、型崩れしにくいのが特徴です。
食感はやや硬めで、具材をしっかり包み込む用途に向いています。
基本の作り方
- 鍋に水とラード(またはバター)を入れ沸騰するまで温める
- 小麦粉に一気に加え混ぜ合わせる
- 触れるくらいになったら滑らかになるまでこねる
- 生地が温かいうちに成形する
- 冷めると固まって伸ばせなくなるので、手早く作業する
よく使う料理
- ポークパイ
- ゲームパイ(ジビエを詰めたパイ)
呼び方
この生地は主にイギリスで使われるもので、フランス菓子にはあまり見られない独自のペイストリーです。
今回紹介した生地の比較表
| 生地 | 層 | 食感 | 甘さ | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| パフ (フィユテ) | あり(多層) | 軽い・サクサク | なし | パイ・ミルフィーユ |
| ラフパフ (パート・フィユテ・ラピド) | 少しあり | ザクッ | なし | 簡易パイ |
| フレーキー | 少しあり | ザクザク | なし | パイ |
| ショートクラスト (パート・ブリゼ) | なし | ほろほろ | 可 | タルト・キッシュ |
| パート・シュクレ | なし | サクッ硬め | あり | フルーツタルト |
| パート・サブレ | なし | ホロホロ | あり | リッチタルト |
| ホットウォーター | なし | しっかり | なし | ミートパイ |
| 生地 | 層 | 食感 | 甘さ | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| パフ (フィユテ) | あり(多層) | 軽い・サクサク | なし | パイ ミルフィーユ |
| ラフパフ (パート・フィユテ・ラピド) | 少しあり | ザクッ | なし | 簡易パイ |
| フレーキー | 少しあり | ザクザク | なし | パイ |
| ショートクラスト (パート・ブリゼ) | なし | ほろほろ | 可 | タルト キッシュ |
| パート・シュクレ | なし | サクッ硬め | あり | フルーツタルト |
| パート・サブレ | なし | ホロホロ | あり | リッチタルト |
| ホットウォーター | なし | しっかり | なし | ミートパイ |
まとめ
ペイストリー生地は一見複雑に見えますが、「層を作るかどうか」と「甘いかどうか」で整理するとわかりやすくなります。
さらに作り方を知ることで、それぞれの食感や仕上がりの違いが自然とイメージできるようになります。
気になる生地があったら、ぜひ手作りに挑戦してみてください!


