ドライフルーツやナッツがたっぷり入った、ドイツの伝統菓子「シュトレン(Stollen)」。
日本では「シュトーレン」とも呼ばれ、クリスマスが近づくとパン屋さんや洋菓子店などで見かけるようになります。
実はシュトレンには数百年の歴史があり、名前や形にもクリスマスにまつわる意味が込められています。
今回は、シュトレンの名前の由来や歴史、種類、クリスマスまでの楽しみ方などをご紹介します。
シュトレン(シュトーレン)とは?

シュトレンは、ドイツで古くから親しまれているクリスマスの伝統菓子です。
バターを使った生地に、レーズンなどのドライフルーツやナッツ、スパイスを混ぜ込み、細長い形に焼き上げます。
焼き上がった表面にはバターを塗り、粉砂糖をたっぷりまぶすのが特徴です。
パンのような見た目ですが、バターやフルーツの風味が豊かで、ずっしりとした食べ応えがあります。
ドイツでは、クリスマスを待つ「アドベント(待降節)」の時期に、少しずつ切り分けて楽しむ習慣があります。
シュトレンとシュトーレン、どちらが正しい?
日本では「シュトーレン」という名前も広く使われていますが、ドイツ語の発音に比較的近いのは「シュトレン」です。
どちらも同じお菓子を指しており、この記事では「シュトレン」という表記でご紹介します。
シュトレンの名前の意味と由来
「Stollen(シュトレン)」は、ドイツ語で「坑道」や「トンネル」などを意味する言葉です。
細長く、中央が盛り上がった形が坑道に似ていることから、その名前が付いたという説があります。
一方、クリスマスのお菓子として親しまれているシュトレンには、もうひとつ有名な言い伝えがあります。
それは、粉砂糖に覆われた白いシュトレンが、おくるみに包まれた幼子イエス・キリストの姿を表しているというものです。
シュトレンは「クリストシュトレン(Christstollen)」とも呼ばれ、クリスマスと深い結びつきがあります。
シュトレンの歴史
もともとは質素な断食のお菓子だった

現在ではバターやドライフルーツをたっぷり使うシュトレンですが、昔からこのように豪華なお菓子だったわけではありません。
シュトレンの古い記録は中世にさかのぼり、ドイツのドレスデンでは1474年の文書に登場しています。
当時のアドベントは、キリストの誕生を待ちながら節制して過ごす期間でもありました。
そのため、当時のシュトレンは小麦粉や水、酵母などを使った、現在よりもずっと質素なものでした。
バターの使用を認めた「バター書簡」
シュトレンの歴史には、少し変わったエピソードがあります。
当時は宗教上の決まりによって、アドベントの期間にバターや牛乳を使うことが制限されていました。
そこで、ザクセンの君主たちはローマ教皇にバターの使用を認めてもらうよう願い出ます。
そして15世紀末、教皇インノケンティウス8世によって、一定の条件のもとでバターの使用が認められました。
この許可は「バター書簡(Butterbrief)」として知られています。
シュトレンの街・ドレスデン

ドイツ東部の都市ドレスデンは、シュトレンの伝統で特に有名な街です。
ドレスデンには「シュトリーツェルマルクト(Striezelmarkt)」という歴史あるクリスマスマーケットがあり、その名前もシュトレンにつながる古い菓子の呼び名に由来するといわれています。
また、クリスマスシーズンには「シュトレン祭り(Stollenfest)」も開催され、数トンにもなる巨大なシュトレンを乗せた馬車が街をパレードします。
シュトレンの種類

シュトレンには、使う材料や作り方によってさまざまな種類があります。
代表的なものには、次のようなものがあります。
- ドレスナー・クリストシュトレン
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ドレスデンとその周辺地域で、定められた基準に従って作られるシュトレン。
EUの地理的表示保護(PGI)の対象となっています。
- マジパンシュトレン
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アーモンドと砂糖で作るマジパンを加えたシュトレン。
しっとりとした食感とアーモンドの風味が特徴です。
- ブッターシュトレン
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バターをたっぷり使った、コクのある味わいのシュトレン。
このほかにも、ナッツやケシの実などを使ったさまざまな種類があります。
シュトレンの作り方

シュトレンは、小麦粉や酵母、バターなどで作った生地に、ドライフルーツやナッツ、スパイスを混ぜ込んで作ります。
レーズンやオレンジピールなどのドライフルーツは、洋酒に漬け込んで使うこともあります。
生地をこねて発酵させたら、細長い形に成形してオーブンで焼き上げます。
焼き上がった表面には溶かしバターを塗り、砂糖や粉砂糖をたっぷりまぶして仕上げます。
シュトレンの食べ方|クリスマスまで少しずつ楽しむ

ドイツでは、クリスマス前のアドベントの時期に、シュトレンを少しずつ切り分けて楽しむ習慣があります。
アドベントは、クリスマスの4つ前の日曜日から始まる、キリストの誕生を待つ期間です。
シュトレンは砂糖やバター、ドライフルーツをたっぷり使うため、一般的なパンよりも比較的日持ちしやすいお菓子です。
食べるときは中央で半分に切り、切り口から食べる分だけ薄くスライスします。
残った部分は切り口同士を合わせて保存すると、乾燥を抑えやすくなります。
また、時間がたつにつれてドライフルーツやスパイスの風味が生地になじみ、味わいが変化することもあります。
クリスマスが近づくのを楽しみにしながら、少しずつ味わう、 そんな食べ方もシュトレンならではの魅力です。
日本でも、クリスマスシーズンにはさまざまなお店でシュトレンが販売されています。
お店によって使われるフルーツやスパイス、甘さなどが異なるので、食べ比べてみるのも楽しいですよ!

まとめ
シュトレンは、ドライフルーツやナッツをたっぷり使った、ドイツの伝統的なクリスマス菓子です。
現在の豊かな味わいの背景には、かつて断食のお菓子だった歴史や、バターの使用をめぐる興味深いエピソードがありました。
クリスマスまでの時間を楽しみながら、薄く切って少しずつ味わうシュトレン。
今年のクリスマスには、そんなドイツの習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。


