ショートブレッドはどこ生まれのお菓子?
ショートブレッドはイギリスのスコットランド生まれの、伝統的な焼き菓子です。
小麦粉・砂糖・バターのみで作るシンプルな焼き菓子で、他の焼き菓子と比べると色がやや白い印象です。
『白い姿こそがショートブレッドの姿』と言われることもあるそうで、焼き色はあまり付けません。
紅茶との相性もいいのでイギリスの家庭では定番のお茶請けです。
ショートブレッドの“ショート”とは?
ショートブレッドの“ショート”は『短い』という意味ではなく、『サクサクした』『ホロホロした』という意味です。
名前の通りサクサクした食感がショートブレッドの特徴です。
イギリスのお菓子でよく使われる『ショートクラストペイストリー(パイ生地のこと)』のショートも同じ意味です。
ちなみにパンのように見えないのに“ブレッド”とついているのも不思議ですが、そちらはこの後の由来と歴史で詳しく紹介します。
最も有名なウォーカーのショートブレッド
市販のショートブレッドで最も有名なのはWalkers(ウォーカー社)のものです。
タータンチェックの赤いパッケージはカルディやコストコなど、輸入品を扱うお店でよく見かけます。
1898年に設立されたウォーカー社は、創業者のジョセフ・ウォーカー(Joseph Walker)が21歳の時に、50ポンドの融資と『世界一のショートブレッドを作る』という野心をもってベーカリーをオープンさせたのが始まりなんだそうです。
現在では100ヶ国以上の国で親しまれています。
なぜ穴が開いてるの?
ショートブレッドには様々な形がありますが、よく見かけるのはフィンガーショートブレッドです。
長方形で表面に穴が空いているのが特徴で、ショートブレッドと聞いて一番に浮かぶのはこの形ではないでしょうか。
この穴は、オーブンで焼いている時に生地の水分を逃げやすくするために開けています。
この穴があることで、ショートブレッドのサクサク感が生まれるとも言われるそうです。
ショートブレッドの種類
ショートブレッドはシンプルなお菓子なので、バリエーションも豊富です。
フィンガーショートブレッドの他に特に有名なのが、ペティコート・テイルとミリオネア・ショートブレッドです。
ペティコート・テイルは、大きな円形で外側にフリルのようなひだがあるのが特徴です。
放射線状にカットしていただきます。
ミリオネア・ショートブレッドは、ショートブレッドにキャラメルを乗せてチョコレートでコーティングしたもの。
億万長者のごとくリッチな味わいになっています。
他にもチョコやフレーバーを入れたもの、型抜きしたもの、表面にスタンプを押したもの、中央がハートの形になっているジャミードジャースビスケットなどがあります。
ショートブレッドの由来・歴史
ショートブレッドのショートは『サクサクした』という意味でしたが、“ブレッド”はどこからきているのでしょうか。
この“ブレッド”という名前がショートブレッドの歴史と関係しています。
ショートブレッドの起源はパンで作られたラスクと言われていますが、ショートブレッドにイーストは入っていません。
ブレッドという名前が付いたのには別の理由があります。
それは、課税を避るため。
昔は小麦粉やバターなどは贅沢品であり、これらの成分を使用した食品に課税がかけられていました。
パンは一般的な食品で課税の対象外だったので、ショートブレッドのような高級なクッキーを“ブレッド”と呼んで課税を回避したと言われています。
現在では手軽なお菓子ですが、当時は高級品でクリスマスや結婚式など特別なときだけに食べられるお菓子だったようです。
スコットランドのシェットランド諸島では結婚式に花嫁が新居に入るとき、ショートブレッドを頭上で割ると幸せになれるという言い伝えもあります。
ショートブレッドの種類の1つであるペティコート・テイルには有名な話があり、16世紀、当時のスコットランドの女王メアリー・スチュアートが宮廷の女性達が身につけていたペティーコートの裾に似ていることからそのような名前をつけ、女王の好物だったというもの。
ですが、イギリスのTV番組であるブリティッシュベイクオフに登場した歴史家の説明よると、普及したのは女王の死から10年後の16世紀後半から17世紀前半のため、『その逸話はおとぎ話』とのことでした。
ショートブレッドはどうやって作るの?
ショートブレッドは以下のような材料を使い作ります。
- 小麦粉
- バター
- 砂糖
基本は小麦粉・バター・砂糖を3:2:1の配合で作ります。
ザクザクッとした食感を強めるために、米粉やコーンスターチ、セモリナ粉などが加えられることもあります。
現在ではチョコチップが入ったもの、アーモンドやくるみなどのナッツが入ったもの、ラベンダーなどのハーブを練り込んだものなど様々なバリエーションがあります。
砂糖を増やすとサクサク感が出て、油分かバターを増やすとホロホロとした食感になります。
『ショートブレッドを作ってみたい!』という場合は、ぜひこの後のショートブレッドのレシピも合わせてお読みください。
ラベンダーショートブレッドのレシピ
以前、船橋市海神町にあるイギリス菓子のお店Marguerite Tea+Cakes.で買ったラベンダーショートブレッドがとても美味しかったので、それに近いものを作ってみました。
ラベンダーシュガーを使用しますが、普通のグラニュー糖を使えば、プレーンなショートブレッドも作れます。
材料
- 薄力粉 75g
- 無塩バター 50g
(塩味が出てしまうので無塩バターを使ってください) - ラベンダーシュガー 25g+生地の外側にまぶす分
※ラベンダーシュガーはグラニュー糖にラベンダーを入れ香りを移したもの
[ラベンダーシュガーの作り方]
今回はグラニュー糖150gに富澤商店のラベンダーハーブ(5g)を入れ1週間以上置いて香りを移しました
作り方
室温に戻して柔らかくしたバターをクリーム状になるまで混ぜ、ラベンダーシュガーを加えてよく混ぜる
薄力粉を数回に分けて加え、粉っぽさが無くなるまで混ぜる
棒状に伸ばして冷蔵庫で30分ほど休ませる
※柔らかくて棒状にできない場合は少し冷蔵庫で冷やしてから行ってみてください
冷蔵庫から出してカットしやすいくらいの固さになったら、外側にラベンダーシュガーをたっぷりつけて、1cm〜1.5cm幅にカットする
160℃に予熱したオーブンで15分焼く
※シルパットはシリコンコーティングされている穴が開いたシートで、形のきれいなクッキーが焼けます
作る時のコツ
本来ショートブレッドはスコーンのように、冷やしたバターと小麦粉をすり合わせるようにして混ぜるラブインという方法で作られます。
ですが、Marguerite Tea+Cakes.で購入したショートブレッドのようにほろほろっとした食感にしたくて、柔らかいバターを使った作り方にしました。
私はラベンダーの香りが好きなので、ラベンダーシュガーに入れたラベンダーのつぼみをブレンダーで粉砕し、より香りが出るようにして使っています。(香りの強さはお好みでどうぞ)
我が家では倍量の【薄力粉150g・バター100g・ラベンダーシュガー50g】で作りますが、その際には成形する時2本に分けると作りやすいです。
その他のショートブレッドのおすすめレシピ
バターと小麦粉をすり合わせるようにして混ぜるラブイン法で作るショートブレッドや、ホットケーキミックスや米粉を使うレシピを紹介します。
基本のショートブレッド*材料3つ!型不要クッキー
型がなくてもフィンガーショートブレッドを作れます。
ウォーカー社のようなショートブレッドを作りたい時にオススメ!
材料4つだけ!ショートブレッド
ホットケーキミックスを使って作れるショートブレッドです。
こちらはバターをクリーム状にして作ります。
【材料3つ】サクサクっ!米粉のショートブレッド
こちらのレシピは米粉を使って作るショートブレッドです。
卵も小麦粉も使わないので、アレルギーなどが心配な方にオススメです!
ビスケット(クッキー)との違いは?
ビスケットに分類されるショートブレッドですが、材料や製法に違いがあります。
※ちなみにビスケットとクッキーは同じ意味です
ビスケットは卵が入るもの入らないものがあるのに対し、ショートブレッドは卵が入りません。
またビスケットは、作る時にバターをクリーム状にしてから砂糖や小麦粉を加えますが、ショートブレッドは小麦粉にバターを加えてパン粉のようにしてからお砂糖を加えて作ります。
ショートブレッドを元に作られた商品とは?
フィンガーショートブレッドの形を見ると、日本で発売されているカロリーメイトによく似ています。
実はカロリーメイトはショートブレッドをモデルに、『手軽に食べられる朝食』として作られました。
ショートブレッドはバターや小麦粉を使用するためカロリーがやや高いですが、カロリーメイトはヘルシーに仕上げるため、開発に苦労したそうです。
まとめ
今回はショートブレッドについてご紹介しました。
- ショートブレッドはスコットランド生まれの焼き菓子
- ショートブレッドの“ショート”はサクサクしたという意味
- 昔、課税を避けるため“ブレッド”という名前になった
- ショートブレッドは材料3つで作れる
- 本来はラブインという方法で作られる
- ビスケットとの違いは材料と作り方
- カロリーメイトは、ショートブレッドをモデルに作られた
少ない材料で手軽に作れるショートブレッド。
ラブイン法で作るショートブレッドと、クリーム状にしたバターで作るショートブレッドの食べ比べも楽しいですよ。
お茶のお供におすすめのお菓子です!