ポルボロンとは?どこのお菓子?
ポルボロンはスペイン・アンダルシア地方の伝統的なお菓子です。
修道院で生まれた焼き菓子で、クリスマスや結婚式などのお祝いの際の定番のお菓子ですが、現在は一年中食べることができます。
口の中に入れるとほろっと崩れる食感が特徴の繊細なクッキー。
粉砂糖がまぶしてあるので、一見スノーボールやブールドネージュにも見えます。
今回はポルボロンの豆知識や作り方、スノーボールやブールドネージュとの違い、成城石井やカルディで販売しているポルボロンについてもご紹介します。
『ポルボロン』ってどういう意味?
ポルボロンの『ポルボ』は“粉”や“塵”の意味で、強調する語尾の『ロン』が付いています。
ホロホロと非常に崩れやすい食感であることを表しています。
ポルボロンではなく『ポルボローネ』という名前で聞いたことがある人もいるかもしれません。
ポルボローネPolvoronesは複数形で、1個だとポルボロン(Polvoron)、2個以上になるとポルボローネ(Polvorones)になります。
スノーボールやブールドネージュとの違いは?
粉砂糖がかかった丸いクッキーには、『スノーボール』『ブールドネージュ』『ルシアンクッキー』などの名前が付いていますが、それらとポルボロンの違いは何なのでしょうか?
実は、スノーボール・ブールドネージュ・ルシアンクッキーは作り方がほとんど一緒です。
スノーボールとブールドネージュは同じ材料を使い、どちらも『雪の玉』という意味で、
- スノーボールは英語
- ブールドネージュはフランス語
です。
ルシアンクッキーはアーモンドパウダーを使用せず、クルミを使用するという違いがあります。
一方ポルボロンは材料にバターではなくラードと、事前に焼いておいた小麦粉を使用します。
ポルボロンはどうやって作るの?
ポルボロンは以下のような材料を使って作ります。
- 小麦粉
- ラード
- 粉砂糖
- アーモンドパウダー
- シナモン
ポルボロンは、ラードと粉砂糖をすり混ぜ、事前に焼いておいた小麦粉とシナモン・アーモンドパウダーを混ぜ合わせて作ります。
小麦粉を焼くというのはあまり聞かない作業ですが、あらかじめ小麦粉に火を通すことで、グルテンという小麦粉の粘り気が消え、ポルボロン特有のホロホロとした食感を生み出します。
焼く前も焼いた後も非常に崩れやすいお菓子になっているので、扱う時は注意が必要です。
ちなみに、現在はラード以外にも、バターやオリーブオイルを使用したベジタリアンのポルボロンもあるそうですよ!
ポルボロンの由来・歴史
ポルボローネはイスラム教徒によって、スペインに持ち込まれたと言われています。
イスラム教は豚を食べることが禁止されているため、当時のポルボロンの材料の油分にラードは使用されていませんでした。
(油や牛乳のミルクを使用していた)
その後スペインで人気となり、15世紀以降に異端審問(キリスト教徒でありながら、正しい信仰を持っていないものを裁くためのもの)が行われた際、イスラム教徒を特定するためにラードを使うようになったそうです。
日本で言う”踏み絵”のような意味でラードが使われました。
中世の頃から修道院でポルボロンを作るようになり、スペイン南部からスペイン全土へと広がっていきました。
スペインはヨーロッパ随一の豚肉の生産国でもあるため、豚肉料理だけでなくラードを使ったお菓子も多く、『動物の油脂でできた』という意味を持つマンテカード(Mantecado)というお菓子もあります。
(マンテカードはアーモンドパウダーを使わないそうです)
ポルボロンは、そのマンテカードから派生してできたとも言われています。
また、大航海時代に不教とともにスペインの植民地にも広がり、フィリピンやキューバでもポルボロンが売られています。
フィリピンのポルボロンでは『粉末ミルクやマーガリンやバターを使用する』、『カシューナッツやチョコレートなどのフレーバがある』などの違いがあるそうです。
ポルボロンの言い伝えとは?
タイトルにあるように、ポルボロンは『幸福が訪れる』『幸せを呼ぶ』と言われています。
ポルボロンには言い伝えがあり、それは…
というもの。
非常に崩れやすく口に入れると溶けてしまうので、ポルボロンと3回唱えるのはなかなか難しいそう…。
ポルボロンを食べる機会があったらぜひチャレンジしてみてください♪
ポルボロンが買えるお店
スノーボールやブールドネージュほどではないですが、ポルボロンを売っているお店もあります。
スペイン菓子を扱うお店やネットで購入可能な他、成城石井やカルディでも取り扱っています。
今回は成城石井とカルディのポルボロンを買ってみました。
成城石井
成城石井のポルボロンは『和三盆 ポルボローネ』という名前で、お菓子売り場に売っています。
油分はラードではなくバターを使用しており、バターの風味と和三盆の優しい甘さが特徴です。
スノーボールのような見た目で、全体的に黄みがかっています。
1粒は約8gで一口サイズ。
口に入れた途端溶けるような感じではなく、噛んだ時にサクサクとした食感があり、噛んだ後溶けるような食感でした。
ナッツの風味もあって、もう一つもう一つと食べたくなる美味しさです。
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カルディ
カルディはポップなパッケージが目印のポルボロンを販売しています。
こちらも油分はラードではなく、マーガリンを使用しています。
こちらもスノーボールのような見た目で、成城石井のものと比べると全体的に白いです。
1粒は約10gで大きめ。
カルディのポルボロンも溶けるような感じではなく、サクサクとした食感があります。
チョコレートも使用されていて、甘い香りがします。
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2種類を食べ比べ
どちらもサクサクとした食感がありますが、成城石井の方が最後に溶けていくような食感がありました。
カルディのポルボロンはメレンゲクッキーのような軽い食感でした。
口に入れてすぐに溶けていく…というより、クッキーとしての食感を楽しめるポルボロンなので、これならポルボロンと3回唱えることもできそうです♪
カルディのミックスでポルボロンを作ってみた
カルディではポルボロンミックスも販売されています。
粉砂糖だけではなく、シナモンシュガーや抹茶パウダーなど、お好みでアレンジもできます。
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材料
- ポルボロンミックス 100g
- 無塩バター 45g
(マーガリンでも可) - 粉砂糖 お好みで
- シナモンシュガー お好みで
(粉砂糖にシナモンシュガーを少し混ぜたもの)
基本の生地は、ポルボロンミックスとバターのみ!
とっても手軽に作ることができます。
今回は半量を粉砂糖、もう半量をシナモンシュガーにしてみました。
手順
今回は少し誤差があって、8gが17個、6gが1個できました。
作ってみた感想
手で丸めているのもあって、見た目はスノーボールって感じです。
食感もサクサクとしていて、カルディで買ったポルボロンに近い食感でした。
個人的にはシナモンシュガーが好み♪
とにかくとっても簡単にできるので、『お菓子を手作りしたい!』という方におすすめです。
本場のポルボロンも作ってみたい!
さて、ここまで3種類のポルボロンを食べてみましたが、どうしても気になることが…。
この食感なら、3回『ポルボロン』って100%唱えられるよね?
口の中でホロホロと溶けると聞いていましたが、実際にはサクサクとした食感。
それはそれで美味しいのですが、もしかしたらラードを使用した作り方なら食感が変わるのでは?と思い、自分で作ってみることにしました。
ポルボロンを作ってみました!
今回はこちらのレシピを参考に実際に作ってみました。
ポルボロン
こちらのレシピはNHKの『グレーテルのかまど』のレシピです。
小麦粉を炒ったり、ラードを使用したりと本格的なポルボロンのレシピになっています。
材料や手順を写真つきで紹介します。
材料
- 薄力粉 100g
- ラード 50g
- 粉砂糖 35g
- アーモンドパウダー 25g
- シナモンパウダー 小さじ1/2
- 仕上げ用の粉砂糖 適量
手順
焦げないように火加減に注意してください。
しばらく変化がないですが、途中からいい香りがしてきてうっすら色が付いていきます。
(私はボウルに移して冷ましましたが、バットがあればバットの方がおすすめです)
シナモン加え忘れたので、少し混ぜてから加えましたが、薄力粉と一緒ふるってOKです。
まとめにくい場合は袋を使ってギュッと押さえていくとまとめやすいです。
今回は袋に入れて、袋の中でまとめました。
冷蔵庫に入れると固くなってしまうので、常温で保存してください。
今回はSeriaで購入した『ファンシー抜き方3P丸(小)』の一番小さい丸型(3.4cm)を使用しました。
焼き上がりも非常に崩れやすいので、そのまま冷まします。
作ってみた感想
生地をまとめる時や型抜きをした時、ちょっとした衝撃で崩れるので『これ本当にこのまま固まるのかな?』と思っていました。
実際に食べてみると、焼く前の生地のホロホロ感がそのまま残っているような感じで、本当に口に入れると歯がいらないくらいホロホロで溶けていきます。
これまで食べたポルボロンとは全くの別物で、イメージは落雁のような感じ。
(個人的な感想です)
初めて食べた味わいですが、きなこのようなホッとするどこか懐かしい感じの味です。
この食感は他では味わえないので、溶けるようなポルボロンを味わいたいと思ったら、絶対に手作りがおすすめです!
焼く時の時間や温度を比べてみると…
今回は170℃で20分の他に、140℃で30分、140℃で20+160℃で10分でも焼いてみました。
- 140℃で30分
-
ん?これは焼けているのかな?という感じがしました。
個人的にはもう少し焼いていたほうがいいかなと思います。 - 140℃で20+160℃で10分
-
140℃だけよりは焼けている感じを感じるものの、もう少し焼いてもいいかな?と感じました。
- 170℃で20分
-
オーブンから出した時の香りで、『ちょっとだけ焼きすぎたかな』と感じました。
味は悪くないですが、数分早くオーブンから出してもよかったかなと思います。
結果的に170℃で15分もしくは160℃で20分がおすすめです。
本場の食べ方は…握りつぶす!?
本場スペインでは紙の包みに入ってキャンディのような形で売られています。
(今回はクッキングペーパーを使用)
『現地の人の食べ方』というのがあるそうで、それが…
ぎゅーーーーー!!
手でぎゅーっと握りつぶします。
こうすることで、ポルボロンが崩れにくくなって食べやすくなるんだとか。
ちなみに中はこんな感じになっています。
お好みで試してみてください♪
作るときのコツ
ポルボロンを作るときのポイントをまとめると、
- 小麦粉を炒る時は焦げないように注意
- 生地をまとめる時は、ビニール袋を使うとやりやすい
- 生地を休ませる時は常温で
- 非常に崩れやすいので、型抜きした後や焼きあがった後は気をつける
難しい作業は無く材料も手に入りやすいので、チャレンジしやすいお菓子だと思います。
ぜひ手作りしてみてください。
(止まらなくなりますよ〜♪)
ポルボロンは日持ちする?保存方法は?
ポルボロンの日持ちはネットで調べると、作ってから5日〜1週間程度だそうです。
グレーテルのかまどでは、日持ちは5日間で紹介されています。
密閉容器に入れて保存。
グレーテルのかまど ポルボロンより
5日間以内に召し上がってください。
保存の際には乾燥剤と一緒にジップロックに入れるのがおすすめです。
我が家は3日で食べきっちゃいました。
まとめ
今回はポルボロンについてご紹介しました。
- ポルボロンはスペイン・アンダルシア生まれのお菓子
- スノーボールとブールドネージュは同じもの、ルシアンクッキーはクルミを使用したもの
- ポルボロンは、小麦粉を炒ることとラードを使うのが特徴
- 元々はイスラム教徒によって持ち込まれた
- 『ポルボロン』と3回唱えると幸せが訪れるという言い伝えがある
- 市販のポルボロンはサクサク食感でスノーボールに近い
- ホロホロと崩れるポルボロンを食べたい場合は手作りがおすすめ
- 本場では包み紙にくるまれ、それを手で握って食べる
一度食べたらクセになるポルボロンのホロホロ感。
食べた際にはぜひ、ポルボロンと3回唱えてみてください♪