2024.10.30再編集しました
世界には、日本でも定番となったもの、まだ日本ではあまり知られていないもの、日本で誕生したもの、など様々なお菓子が存在します。
今回は、ポルボロンをテーマに、由来や歴史、作り方などをご紹介します。
ポルボロンはどこ生まれのお菓子?
ポルボロンはスペイン・アンダルシア地方の伝統的なお菓子です。
修道院で生まれた焼き菓子で、クリスマスや結婚式などのお祝いの際の定番のお菓子ですが、現在は一年中食べることができます。
口の中に入れるとほろっと崩れる食感が特徴の繊細なクッキーです。
ポルボロンってどういう意味?
ポルボロンの『ポルボ』は“粉”や“塵”の意味で、強調する語尾の『ロン』が付いています。
ホロホロと非常に崩れやすい食感であることを表しています。
ポルボロンではなく『ポルボローネ』という名前で聞いたことがある人もいるかもしれません。
ポルボローネPolvoronesは複数形で、1個だとポルボロン(Polvoron)、2個以上になるとポルボローネ(Polvorones)になります。
ポルボロンの由来・歴史
ポルボロンはイスラム教徒によって、スペインに持ち込まれたと言われています。
イスラム教は豚を食べることが禁止されているため、当時のポルボロンにラードは使用されていませんでした。
(油や牛乳のミルクを使用していた)
その後スペインで人気となり、15世紀以降に異端審問が行われた際、イスラム教徒を特定するためにラードを使うようになったそうです。
日本で言う”踏み絵”のような意味でラードが使われました。
中世の頃から修道院でポルボロンを作るようになり、スペイン南部からスペイン全土へと広がっていきました。
スペインはヨーロッパ随一の豚肉の生産国でラードを使ったお菓子も多く、『動物の油脂でできた』という意味のマンテカード(Mantecado)というお菓子もあります。
ポルボロンは、そのマンテカードから派生してできたとも言われています。
大航海時代に不教とともにスペインの植民地にも広がり、フィリピンやキューバでは、粉末ミルクやマーガリンを使用したり、カシューナッツやチョコレートなどのフレーバーのポルボロンがあるそうです。
ポルボロンの言い伝えとは?
ポルボロンには、口に入れ溶ける前に『ポルボロ・ポルボロン・ポルボロン』と唱えると、幸福が訪れるという言い伝えがあります。
非常に崩れやすく口に入れると溶けてしまうのでなかなか難しいそうですが、機会があったらぜひチャレンジしてみてください。
スノーボールやブールドネージュとの違いは?
粉砂糖がかかった丸いクッキーには、スノーボール・ブールドネージュ・ルシアンクッキーなどがありますが、この3つは作り方がほとんど一緒です。
スノーボールとブールドネージュは小麦粉・バター・アーモンドパウダーを使い、どちらも『雪の玉』という意味で、
- スノーボールは英語
- ブールドネージュはフランス語
という違いがあります。
ルシアンクッキーはアーモンドパウダーを使用せず、クルミを使用します。
一方ポルボロンは材料にバターではなくラードを使用し、小麦粉を事前に焼いておくという工程があります。
サクサクというよりホロホロと溶けるような感じで、食感も異なります。
ポルボロンの作り方
ポルボロンは、ラードと粉砂糖をすり混ぜ、事前に焼いておいた小麦粉とシナモン・アーモンドパウダーを混ぜ合わせて作ります。
あらかじめ小麦粉に火を通すことで、グルテンという小麦粉の粘り気が消え、ポルボロン特有のホロホロとした食感を生み出します。
ちなみに、現在はラード以外にもバターやオリーブオイルを使用したベジタリアンのポルボロンもあるそうです。
材料
- 薄力粉 100g
- ラード 50g
- 粉砂糖 35g
- アーモンドパウダー 25g
- シナモンパウダー 小さじ1/2
- 仕上げ用の粉砂糖 適量
手順
- フライパンで薄力粉を炒り、薄く色づいたら取り出して冷ます
- ラードと粉砂糖を混ぜ、アーモンドパウダーを加えて混ぜる
- 冷ましておいた薄力粉とシナモンパウダーをふるい入れて混ぜる
- 生地を手で押しながらまとめ、ラップに包んで常温で30分休ませる
- 約1cmの厚さに伸ばし、丸い型で抜き、170度に余熱したオーブンで20分焼く
- 冷めたら粉砂糖をふる
こちらはNHKの『グレーテルのかまど』のレシピですが、実際に作った様子や詳しい作り方は別の記事で紹介します。
作るときのコツ
- 小麦粉を炒る時は焦がさないように注意
- 生地を休ませるのは常温で
- 焼き上がった後も崩れやすいので、冷めるまで触らない
小麦粉を炒る時に焦がしてしまうと、出来上がったポルボロンも焦げた味になってしまうので、火加減は弱火で。
また、崩れやすい生地なので、型抜きをするときもそっと行い、焼いたあとはそのまま冷ましてください。
本場ならではの意外な食べ方
本場スペインでは紙の包みに入ってキャンディのような形で売られています。
(今回はクッキングペーパーを使用)
『現地の人の食べ方』というのがあるそうで、それが…
ぎゅーーーーー!!
手でぎゅーっと握りつぶします。
こうすることで、ポルボロンが崩れにくくなって食べやすくなるんだとか。
ちなみに中はこんな感じになっています。
お好みで試してみてください♪
ポルボロンは日持ちする?保存方法は?
ポルボロンの日持ちは、作ってから5日〜1週間程度だそうです。
グレーテルのかまどでは、日持ちは5日間と紹介されています。
密閉容器に入れて保存。
グレーテルのかまど ポルボロンより
5日間以内に召し上がってください。
保存の際には乾燥剤と一緒にジップロックに入れるのがおすすめです。
今回はポルボロンについてご紹介しました。
一度食べたらクセになるポルボロンのホロホロ感。
食べた際にはぜひ、ポルボロンと3回唱えてみてください♪