腕利きのアマチュアベイカーたちが、ベイキングの腕を競うイギリスの人気番組『ブリティッシュ・ベイクオフ』。
今回はシーズン5の第8週、【パン生地(上級編)】がテーマの回をご紹介します。
今回のエピソードでは、フルーツが入った甘いパン、ポティツァ、そしてドーナッツという3つのチャレンジに挑みました。
番組の流れ
各エピソードは3つのチャレンジから構成されています。
- オリジナルチャレンジ:参加者が事前に準備した自分のレシピで作るチャレンジ
- テクニカルチャレンジ:審査員が用意した最小限の指示だけで全員が同じレシピに挑むチャレンジ
- マスターピースチャレンジ:技術と創造性の集大成となる複雑なお菓子作りのチャレンジ
3つのチャレンジの後、その週最も優秀だったスターベイカーと脱落者が発表されます。
それでは、実際の様子を見ていきましょう!
審査員・司会者

審査員
メアリー・ベリー

審査員
ポール・ハリウッド

司会
スー・パーキンス

司会
メル・ギェドロイツ
ベイカー達

マーサ
(番組史上最年少17歳)

ルイ
(デザイナー・養蜂)

リチャード
(建設業、2人の娘がいる)

ナンシー
(5人の子どもと8人の孫がいる)

チェトナ
(4歳と6歳のママ)

オリジナルチャレンジ:フルーツが入った甘いパン

第8週目の最初のチャレンジはフルーツが入った甘いパン。
ポールは「風味を加えた生地は難しい。バターや卵や砂糖や牛乳が酵母の働きを阻害する。発酵が遅いからタイミングの見極めが難しい」と、難易度の高さを説明しました。
メアリーも「バターや卵を加えると発酵に時間がかかる。発酵が足りないと焼いてもどうにもならない」と話し、ベイカーたちには適切な時間配分が求められます。
マーサは「ポールのレシピは3時間半よ。2時間半で焼き上げるなんて至難の業ね」、チェトナも「低温で焼くパンだから焼成に時間がかかる。時間管理が最大の問題ね」とベイカーたちも時間に不安を感じていました。
- マーサ
プラムアイシング渦巻きパン - チェトナ
ナツメヤシとクルミの渦巻きパン - ルイ
ブラックフォレストチェリーツリー - ナンシー
リンカーンシャープラムブレッド - リチャード
スウェーデン風フルーツのディーリング
チェトナが選んだのはスロベニアのポティツァ。
それに独自のアレンジを加えます。
タイトな時間の中で、レンジで発酵時間を短縮するという方法に出たナンシー。
しかしポールは、「パン生地をレンジで加熱するとタンパク質の構造が損なわれてしまう。生地が不安定になるよ」と難色を示します。
このチャレンジでは、発酵の度合いや味に注目して審査されました。
特に評価が高かったのが、ルイとリチャード。
ルイは、
「発想はすごくいいよ。内相もいい。キメが揃ってる。味もいい。砂糖はどうかな。斬新だが必要性は疑わしい」(ポール)
「私は中央の砂糖は独創的でいいと思うわ。生地に調和してる。食感もとてもいい」(メアリー)
パンの中に入れた角砂糖に対して意見が別れましたが、全体的に高評価でした。
リチャードは、
「よく焼けてる。キメもそろってるし味も調和してる。あのゆるい生地をうまく焼き上げた。味もとてもいい」(ポール)
と評価されました。
今回のチャレンジでは評価が低かった人はいませんでしたが、マーサは「少し生っぽいけど味はいい」、チェトナのパンはシナモンの量についてポールとメアリーの間で意見が別れ、ナンシーのパンは「内相は良いが若干発酵不足」という評価になりました
オリジナルチャレンジ後のベイカーの感想は、
リチャード「味も見た目もいいと皆認めてくれたね」
チェトナ「うまくいったわ。見た目が心配だったけど気に入ってもらえた」
ルイ「今のところ希望はあるがテクニカルしだいで暗転する」
テクニカルチャレンジ:ポティツァ

次に行われたテクニカルチャレンジの課題は、ポティツァでした。
オリジナルチャレンジでチェトナが作っていたものです。
ただし、今回作るのはチェトナが作ったようなものではなく正統派のもの。
「ポティツァが難しい点は棒状の生地1本で作ること。薄く伸ばした生地に、ココア、バター、砂糖、クルミを巻き込む。それを投げ縄のように型に入れ成形する。断面は見事な渦巻き模様だ。1時間ほどじっくり焼き、中の水分を飛ばす。」とポール。
さらに「チェトナが有利なのは確かだ」と付け加えました。
チェトナ「こんなことって…。皆知ってたのに今朝は誰も言ってくれなかった。驚いたわ」
リチャード「チェトナは経験あるからラッキーだね。彼女を参考にする。カンニングでなく見て学ぶよ」
ルイ「聞いたこともないから、今朝の記憶だけが頼りだ」
レシピを読み「準々決勝のテクニカルが簡単なわけない」と話すリチャード。
経験のあるチェトナも「発酵時間は知ってるけど、1本の大きなロールを作ったことはない」と、オリジナルのときとは違った難しさを感じていました。
最大の問題は発酵と焼成の時間配分です。
ルイ「30分発酵させ様子を見る」
ナンシー「1時間は発酵が必要ね。それで膨らまなかったらレンジに頼るわ」
発酵を終えた生地を取り出し、長方形に伸ばしていきます。
チェトナ「完成形を知ってるから広げ具合はわかる」
ルイ「”できるだけ大きな長方形にのばす”とある。そこがヒントだ」
リチャード「可能な限り大きくするよ」
ナンシー「これ以上のばしたら破れる」
次は極薄の生地に均一にフィリングをのばします。
ですが、薄くて破れやすい生地に、固いフィリングを伸ばしていくのは至難の業です。
ナンシー「レシピによれば生地の上に均一に広げるそうよ。フィリングは硬くて生地は破れやすい」
チェトナ「フィリングが広がらない。レシピにはそう書いてあるのに。変だわ」
試行錯誤した結果、ナンシーはフィリングをレンジで温め、絞り出し袋に詰めて絞り出しました。
リチャードも同様のやり方を選択。
一方マーサはフィリングをラップで包み、生地と同じ大きさに伸ばしてから生地と合わせます。
そして、このチャレンジで一番の鍵となる焼く時間へ。
チェトナだけは「長く焼く必要があるから発酵は短くするわ」と生地を発酵器に入れ、二次発酵を始めるライバルを尻目に、10分の発酵後焼成を始めます。
チェトナ「このパンを焼く時に大事なのは、低温で長く焼くことなの」
スー「それを知ってるのはこの中であなただけよ。皆はまだ二次発酵中」
チェトナ「発酵より焼成が大事なの」
マーサは一度型に入れた生地が短かったと型から出し、再度生地を伸ばしたため、発酵時間が足りないかなと心配していました。
他のベイカーが生地をオーブンへ入れていく中、チェトナはオーブンから出すタイミングで迷いが生まれます。
チェトナ「思い通りの焼色になったけど、出すべきか…」
温度計で生地内部の温度を測るルイ、しかし中は生焼けの状態。
リチャード「皆生焼けになるのを心配してる」
ルイ「30分で十分と思ったが」
チェトナは「満足いく色になった」とオーブンから生地を取り出します。
他のベイカーたちもオーブンから出し、風を送って生地を冷まします。
生地が生焼けだったと話したルイはギリギリまで生地をオーブンで焼いていました
評価と順位
今回の審査のポイントは、見た目と中までしっかり火が通っているかです。
チェトナ以外のメンバーは焼き時間が足りず、生焼けの状態でした。
5位:マーサ(これじゃ食べられないよ)※焼成時間は25分
4位:リチャード(アイシングはいいけど生焼けね)
3位:ナンシー(食べられなくはないが十分焼けてない、アイシングはひどい)
2位:ルイ(温度が高く焼き時間が短かった)
1位:チェトナ(すごい偶然だったね、あと10分焼けば完璧な焼き具合になった)※焼成時間は50分
テクニカルチャレンジ終了後、「テクニカルで1位は初めてだけど、1位でなければ逆にショックね」とチェトナ。
ナンシーは「今回は最下位だと確信していたから、5位で呼ばれても挙手しないつもりだった」、マーサは「テクニカルで最下位だと挽回が大変ね。明日は絶品を作らないと脱落することになる」と話しました。
マスターピースチャレンジ:ドーナッツ

最後に行われるマスターピースチャレンジの課題はドーナツ。
ポールは「これまでに3〜4万個のドーナツを作った。味も形も知り尽くしてる」、メアリーは「野心的な作品の登場を期待してるわ」と話しました。
- リチャード
リンゴあめ&ルバーブとカスタード - ナンシー
ドーナツのファミリーツリー - マーサ
ポピーシード&チョコとフルーツ - チェトナ
チョコムース入り&編みドーナツ - ルイ
カクテルドーナツ
今回は誰もが知るお菓子のため、ベイカーそれぞれの独創性が鍵となります。
ルイはカクテルの味に着想を得たドーナツを作ると説明し、メアリーを驚かせます。
マーサはリング型のレモンとポピーシードを使ったものと、層になったパッションフルーツ&チョコの味の2種類。
層状にするため生地を冷やすマーサ以外のベイカーは発酵器で生地を発酵させます。
マーサ「準々決勝だから普通のドーナツでなく斬新なものを作れることを証明しなきゃならない。創造性を発揮したいわ」
リチャードはお祭りのリンゴあめに着想を得たりんご入りドーナツと、ハート形のドーナツにはジャムを入れカスタードを飾ると説明。
メアリーからは「ハート形は崩れない?」と心配されます。
発酵を終えた生地を伸ばすベイカー達は、それぞれリング型やハート型にくり抜いたり、編み込んだりして形を作っていきます。
生地を発酵器からだしたマーサは「大変だわ。巨大になっちゃった。完全に過発酵だわ。自分に腹が立つ。これはひどい」と落胆。
出来上がった生地を揚げていくベイカー達。
リチャード「片面につき1分半揚げると、両面が黄金色になり中央に白い輪ができる。よさそうだ」
チェトナ「揚げ物はあまりしないからこれしかやり方を知らない」
マーサ「練習した時の半分の厚みでパンケーキみたい。見た目は残念だけど味はいいはず」
ナンシーは「ポールにけなされる」と仕上がりにに納得がいっていない様子でした。
仕上げに差し掛かるベイカー達。
ナンシーやチェトナは中に入れるフィリングの量に注意しながら入れていきます。
ルイは「審査員は仕掛けを嫌うね、メアリーは特に。でもやるよ」と不安を抱えながらも、ドーナツの中にベイリーズ(クリーム系リキュール)を入れました。
マスターピースで評価が高かったのはリチャードとルイ。
- リチャードのリンゴあめ&ルバーブとカスタード
「心配したハートの形はしっかり保ててるわね」(メアリー)
「美味しいよ。クリームは調和してルバーブが効いてる。上出来だ。カラメルの方も色はちょうどいい。両面が均一だ」(ポール) - ルイのカクテルドーナツ
「盛り付けが凝っていて素晴らしいわ。ジャムがたっぷりでグレーズもきれい」(メアリー)
「おいしいよ。過発酵と心配したけど食感と味はとてもいい」(ポール)
「仕掛けを嫌う」と心配していたルイのカクテルドーナツでしたが、メアリーには大好評でした。
一方、ナンシーは「味は良いが発酵と揚げ時間が問題だ」、マーサは「2つとも味はいいが、食感と見た目が良くない」、チェトナは「中のムースが固すぎたのだけが残念ね」と、それぞれ厳しい評価となりました。
結果発表
スターベイカー

番組始まって以来初、4度目の栄冠に輝いたリチャード。
「4回目の栄冠だね。すごくうれしいし驚いてる」と喜びを語りました。
4回目という過去に無い結果にポールは「審査員のえこひいきだと他の人は不安かもしれない。それはあり得ない。誰もがスターベイカーになり得る」と話しました。
脱落者

残念ながらマーサが脱落となりました。
終了後「すばらしい経験だった。食べられないものも作ったけど、全力を出し切ったと断言できる。ここまで来られて幸せよ」とこれまでのチャレンジを振り返りました。
メアリーは「マーサはあの若さでよく頑張ったわ。今後が楽しみね」、ポールも「脱活躍を期待してる」と話しました。
17歳、番組史上最年少でしたが、そのスキルで毎回審査員を驚かせていました。
脱落は残念ですが、準々決勝まで勝ち残り、たくさんの作品を見ることができてよかったです。
今回はブリティッシュ・ベイクオフ シーズン5の第8週をご紹介しました。
次回は、『ブリティッシュベイクオフ マスタークラス』から今回のチャレンジで登場したお菓子の作り方を紹介します。