パステル・デ・ナタはどこ生まれのお菓子?
サックサクのパイ生地に卵黄たっぷりのカスタードが入ったパステル・デ・ナタ。
日本ではマカオがポルトガルから中国に返還された1999年にエッグタルトとしてブームになったため、マカオのイメージが強いかもしれませんが発祥はポルトガル。
ポルトガルの老舗のパステル・デ・ナタは、パイ生地にカスタードクリームを流し込み、なんと400℃の高温で一気に焼き上げるそうです。
そうすることで、生地はパリッと中のカスタードはとろっと仕上がります。
お好みでシナモンパウダーや粉砂糖を振りかけて食べるのがポルトガル流。
エッグタルトは同じもの?
マカオの名物であるエッグタルトとパステル・デ・ナタはどちらもカスタードを使ったお菓子ですが、生地に違いがあります。
マカオはかつてポルトガルの植民地だったので、ポルトガルからマカオに伝わったと言われています。
エッグタルトブームの2000年頃にセブンイレブンで販売していたエッグタルト、美味しかったなぁ♪(復活希望)
『パステル・デ・ナタ』ってどういう意味?
ポルトガル語で『パステル』(複数形は:Pasteis:パステイシュ)は“小麦粉で作った生地を使った料理”や“粉を練ったもの”の意味で、イタリアの『パスタ』と同じ語源です。
『ナタ』は乳脂肪分や生クリームなどクリーム状のものを表します。
パステル・デ・ナタの由来・歴史
パステル・デ・ナタや日本のカステラの元になったと言われるパン・デ・ローなど、たっぷりの卵黄とお砂糖が使われたお菓子が多いポルトガル。
そのほとんどが修道院で生まれました。
修道院では養鶏を行っていて、修道女を志願する人は鶏と卵を持参するというルールがあったため、貴重とされた卵をふんだんに使うことができました。
卵黄を使うお菓子が多いのは、祭服の糊付けやワインの澱(おり:浮遊物や沈殿物)を取り除くために卵白を使い、余った卵黄をお菓子作りに活用したからです。
18世紀初め頃にはパステル・デ・ナタは作られていたと言われていて、特にジェロニモス修道院のものが美味しいと有名だったそうです。
ですが、1820年にポルトガルで起きた自由主義革命により多くの修道士・修道女が追放されました。
彼らは生活の為にパステル・デ・ナタを売り、それが大人気となり、1837年には『Pastéis de Belém(パスティシュ・デ・ベレン)』を創業。
以来ポルトガルを代表するお菓子になりました。
Pastéis de Belém(パスティシュ・デ・ベレン)は現在でも営業していて、当時のレシピを受け継いでいるそうです。
パステル・デ・ナタはどうやって作るの?
パステル・デ・ナタは以下のような材料を使って作ります。
- パイ生地
- 卵黄
- 砂糖
- コーンスターチ
- 薄力粉
- 牛乳
- シナモンスティック
その他に生クリームを使用したり、バニラエッセンスを使用するレシピもあります。
エッグタルト専用の型もあるそうですが、マフィン型や小ぶりのタルト型でも作ることができます。
英国で人気の焼き菓子のコンテスト番組であるブリティッシュ・ベイクオフでも、ベイカーに与えられた課題として登場しました。
パステル・デ・ナタが大好物だという審査員のポールが『底には特徴的な渦模様が見て取れる』と話すように、伸ばした生地をそのまま型に敷くのではなく、生地をくるくると巻きカットして、型にそうように伸ばして作ります。
老舗のお店のように400℃で焼くことはできませんが、できるだけ高温で焼くことでサクッとした生地に仕上がります。
パステル・デ・ナタのオススメレシピ
パステル・デ・ナタは冷凍パイシートを使って作ることができます。
ぜひ、できたてを食べてみて下さい♪
本場!ポルトガルのエッグタルト
冷凍パイシートを使ったパステル・デ・ナタのレシピです。
準備しやすい材料で、パステル・デ・ナタ特有の渦巻きの形で作ります。
ポルトガルのエッグタルト
こちらも市販の冷凍パイシートを使用して作れるパステル・デ・ナタのレシピです。
こちらはレモンの皮を使用し、最後にシロップを塗って甘みを足します。
ポルトガルの伝統的なレシピ: パステイ ジ ナータ(カスタードタルト)
こちらはポルトガル観光局のサイトで掲載されている本格的なレシピです。
パイから手作りできるレシピですが、分量が多いので半分や半分以下で作ると良いと思います。
実際に作ってみました
今回は上記のレシピの1つ目の『本場!ポルトガルのエッグタルト』を参考に、実際にパステル・デ・ナタを作ってみました。
実際に使った材料や作る工程、感想や作るときのコツもご紹介します。
材料
- ニップン 発酵バター入りパイシート(約18×18cm・2枚入り) 2枚
- 卵黄 4個分
- 生クリーム 60ml
- 牛乳 440ml
- 砂糖 大さじ4
- 薄力粉 大さじ2
- レモン汁 4振りくらい
- バニラエッセンス 4振りくらい
- シナモンパウダー 3振りくらい
※レシピには【塩 ひとつまみ】もあり用意しましたが、使いませんでした
手順
今回は写真のように、うっすら線が出るくらいのとろみにしてみました
パイシートを乗せる前に、打ち粉をすると台にくっつかず作業しやすいです
すき間ができないように、気持ちキツめに巻きました
包丁でカットでも大丈夫ですが、今回は糸を生地にぐるっと巻き付けて、両端をそれぞれ逆の方向に引っ張ってカットしました
厚い場所薄い場所が出ないように、全体的に同じくらいの厚みになるように伸ばしました
※薄すぎるとカスタードが漏れる可能性もあるので注意
本場では400℃で焼き上げるので、家のオーブンのマックスの温度で焼きました
レシピでは【150〜160℃に暖めたオーブンで20〜25分】になっているので、お手持ちのオーブンでの焼け具合を見て調整してみて下さい
焼き上がったら型から出して冷まします
※そのままにしておくと底が柔らかくなってしまいます
作ってみた感想
作るのが大変そうなパステル・デ・ナタですが、冷凍パイシートを使えばあっという間でした。
時間がかかるところも、カスタードのとろみがつくのを待っていた時くらいです。
パイのお菓子はいつも空焼き(パイだけ先に焼く)を行っていたので、『サクッとなるのかな』と心配しましたが、パイもサクサクに仕上がりました。
型に沿わせる際、指でしっかり押しましたが、焼き上がった底にうっすら渦巻き模様も残っていました。
味は甘さ控えめです。
我が家では1つはそのまま、残りは【パウダーシュガー+シナモンパウダー】で作ったシナモンシュガーをたっぷりかけていただきました。
次回作る時は、カスタードに使用する【砂糖大さじ4】を【砂糖大さじ6】くらいにしてみようと思います。
作るときのコツ
パイ生地について
難しい工程は特にありませんでしたが、パイ生地は室温や温かい場所にしばらく出しておくと生地がダレてしまいます。
生地の油分が溶け出してしまうとキレイな層ができず、焼き上がりがサクサクにならなくなってしまうので、『生地が柔らかくなってきた』と感じたら、一度冷蔵庫で冷やしてから作業を進めて下さい。
カットした生地を型に入れて伸ばすときは、指を水で濡らすと作業がしやすいそうです。
焼き色について
オーブンで焼く際、焦げるのが心配な場合は、途中から上にアルミホイルを被せてみて下さい。
ちなみにポルトガルの人は『よく焦げたものを』と注文するくらい、しっかり焼き目が付いたものが好きなんだそうです。
パステル・デ・ナタは日持ちする?
我が家は前日に焼いたパステル・デ・ナタを翌日の朝に食べましたが、基本は焼いた当日に食べきるのが良いようです。
常温では数時間しかもたないそうなので、時間をあけて食べる場合は冷蔵庫で保存しましょう。
冷蔵庫での保存でも賞味期限は当日中になるので、我が家のように翌朝食べるのはおすすめしません。
(特に体調不良になることはありませんでしたが…)
冷凍のパステル・デ・ナタもありますが、一部サイトでは冷凍保存不可となっていましたので、やはり当日中に食べるのがベストです。
リベイク方法
我が家は一晩冷蔵庫で保存しましたが、食べる時は電子レンジとトースターでリベイクしました。
電子レンジで常温くらいまであたため、トースターで先に裏側を焼き(トースター付属のトレイにアルミホイルを乗せてた上に並べました)、生地の油分がふつふつしてきたらひっくり返して表面を温めます。
先にひっくり返して底を温めたのは、パイをサクサクにしたかったのと、表面を焦がさないようにするためです。
※あくまで私流のやり方なので、参考程度にどうぞ
パステル・デ・ナタが買えるお店
Nossabolo(ノッサボーロ)
Nossabolo(ノッサボーロ)は自由が丘にあるポルトガル菓子のお店で、パステル・デ・ナタはお店の看板商品です。
こだわりの材料で作られていて、パイはザクッと、中はとろっとした絶品のパステル・デ・ナタになっています。
期間限定のフレーバーも用意されていて、桜や抹茶、レモン、さつまいもなどがあるようです。
【NewOpen】\ザクっとろ~のポルトガル菓子を味わってみて!/
— 自由が丘.net (@jiyugaoka_net) January 16, 2023
老舗ポルトガル料理店監修のポルトガル式エッグタルト"パステルデナタ"専門店『Nossabolo / ノッサボーロ』明日1月17日OPEN!
オープン記念として17日は6個以上の購入で限定フレーバー1個プレゼント!#自由が丘https://t.co/idx52CYe9w pic.twitter.com/VGdD0dWnE3
\ 公式サイトはこちら/
ナタ・デ・クリスチアノ
ナタ・デ・クリスチアノは代々木公園近くにある、ポルトガルのお菓子を扱うお店です。
職人の方がポルトガルのポルトの名店『tavi』で修行を行い、パステル・デ・ナタは本場のように高温で焼き上げているそうです。
パステル・デ・ナタやパン・デ・ローなどは通販でも購入可能です。
\ 購入はこちらから/
#代々木公園 を散歩するならこの『ナタ・デ・クリスチアノ』の #玉子タルト をお供に!
— 手土産・ギフト情報配信中@ippin(イッピン) (@ippintw) October 20, 2018
⇒https://t.co/FVWpxrMECG
本場ポルトガル風の #エッグタルト はザクザク生地の中にしっとりクリーム。卵とバターの素材の味がしっかりわかる。#代々木八幡 駅近のレストランでもイートイン可! @55aiai #富ヶ谷 pic.twitter.com/RVNyolOixh
\ 公式サイトはこちら/
成城石井
成城石井はデザート売り場に『ミニパステルデナタ』が売っています。
パイ生地にフィリングが入ったミニサイズのパステル・デ・ナタが4つ入っています。
原産国名はフランスとなっていますが、裏側には薄っすらと渦巻き模様が見えます。
トースターでリベイクしていただきましたが、パイの部分はサクサクというよりは表面がパリッとしていて、フィリングはほのかにシナモンが香ります。
フィリングは甘めなので、コーヒーなどと一緒に食べるおやつにおすすめです。
カルディ
カルディは冷凍食品売り場に『オリジナルエッグタルト』が売っています。
名前は『エッグタルト』ですが、原産国名はポルトガルです。
冷凍のままオーブントースターやオーブンで15分程度温めて出来上がりとのことなので、トースターで焼いてみました。
生地はパイ生地を使用し側面がサクサクしていて、裏側にはかなりはっきりとした渦巻き模様が見れます。
フィリングはかなりトロッとしていて、こぼれないよう注意が必要です。
\ 通販はこちらから/
業務スーパー
業務スーパーでは冷凍の『エッグタルト(オリジナル)4個入り』を販売しています。
こちらも『エッグタルト』の名前ですが、原産国名はポルトガルとなっています。
自然解凍した後、トースター(1200W)で7分〜8分焼いて出来上がりです。
裏側にはしっかりと渦巻き模様が見えます。
サックサクのパイ生地で中のフィリングは柔らかめでトロっとしています。
シナモンシュガーをかけようかと思いましたが、かけなくても十分な甘さがありました。
ケンタッキー
ケンタッキーでも期間限定で『エッグタルト』を販売しています。
エッグタルトという名前ですが、生地はパイ生地を使用しています。
裏側に渦巻き模様はなかったので、ポルトガルのパステル・デ・ナタとは作り方が違うようです。
パッケージには電子レンジ(500W)で20秒とありましたが、私はトースターで温めました。
フチがサクサクしていて、しっかりと甘みを感じるフィリングで美味しかったです。
コストコ
パステル・デ・ナタの名前で16個入り739円(税込798円)で販売されているそうです。
ファンも多いですが、最近はあまり見かけないという声もあるので、もしかしたら終売になっているのかもしれません…。
おすすめは…
今回食べたのはこの4つです。
- 成城石井のミニパステルデナタ
- カルディのオリジナルエッグタルト
- 業務スーパーのエッグタルト(オリジナル)
- ケンタッキーのエッグタルト
4つの中で一番甘みが強かったのも業務スーパーのものでしたが、何より生地のサクサク感がトップでした!
ぜひトースターで、表面をパリパリサクサクにして食べてみて下さい♪
まとめ
今回はパステル・デ・ナタについてご紹介しました。
- パステル・デ・ナタはポルトガル生まれのお菓子
- パステル・デ・ナタはパイ生地、マカオのエッグタルトはタルト生地を使用
- かつて修道院で、余った卵黄を活用するために生まれたお菓子のひとつ
- 冷凍パイシートなら手作りも簡単!
- パイ生地を渦巻状にして型に押し付けて形作るのが特徴
- 日持ちしないため当日中に楽しむ
- 都内には本格的なポルトガル式パステル・デ・ナタを扱うお店もある
- スーパーでも『エッグタルト』として販売されている
日本で売られているエッグタルトは、パイ生地を使用したパステル・デ・ナタに近いものが多いようです。
手作りも難しくないので、ぜひ焼き立てサクサクの生地と、甘くてトロっとしたフィリングを楽しんでみてください!