腕利きのアマチュアベイカーたちが、ベイキングの腕を競うイギリスの人気番組『ブリティッシュ・ベイクオフ』。
今回はシーズン5の第6週、【ヨーロッパのケーキ】がテーマの回をご紹介します。
今回のエピソードでは、クグロフなどのヨーロッパのケーキ、プリンセストルタ、そしてドボシュトルタという3つのチャレンジに挑みました。
番組の流れ
各エピソードは3つのチャレンジから構成されています。
- オリジナルチャレンジ:参加者が事前に準備した自分のレシピで作るチャレンジ
- テクニカルチャレンジ:審査員が用意した最小限の指示だけで全員が同じレシピに挑むチャレンジ
- マスターピースチャレンジ:技術と創造性の集大成となる複雑なお菓子作りのチャレンジ
3つのチャレンジの後、その週最も優秀だったスターベイカーと脱落者が発表されます。
それでは、実際の様子を見ていきましょう!
審査員・司会者

審査員
メアリー・ベリー

審査員
ポール・ハリウッド

司会
スー・パーキンス

司会
メル・ギェドロイツ
ベイカー達

マーサ
(番組史上最年少17歳)

ルイ
(デザイナー・養蜂)

リチャード
(建設業、2人の娘がいる)

ナンシー
(5人の子どもと8人の孫がいる)

ケイト
(家具の修復師)

チェトナ
(4歳と6歳のママ)

オリジナルチャレンジ:ヨーロッパのケーキ

第6週目の最初のチャレンジはクグロフやサヴァランのようなヨーロッパのケーキ。
ポールは「ベーキングパウダーが登場したのは1850年代。それまでは酵母しかない。その間ヨーロッパ各地で多様な発酵ケーキが生まれた。今回は時間が鍵を握る」と話しました。
メアリーも「発酵ケーキの作り方はパンと似てるわ。高温で発酵を加速させると早く膨らみすぎて質感が悪くなる。遅いと時間が足りない」と発酵の仕方や時間について語りました。
- ルイ
リンゴとシナモンのクグロフ - ケイト
ピーカン・チョコ・サワーチェリーのケーキ - チェトナ
シナモンクリームとオレンジ風味のサバラン - リチャード
フルーツのクグロフ オレンジシロップがけ - ナンシー
ラム酒のサバランとココナツクリーム - マーサ
ダークチョコとリキュールのサバラン
このチャレンジでは、生地の食感や発酵時間などに注目して審査されました。
ルイやリチャードはクグロフ、チェトナやナンシー、マーサはサヴァランを選択。
それぞれ、生地の作り方や中にいれる具材にも工夫をこらしました。
特に評価が高かったのが、ルイ、チェトナ、マーサの3人。
「いい食感だよ、噛んでも粘らずホロホロと崩れる」(ルイ)
「すばらしい色ね。鮮やかな黄金色だわ」(チェトナ)
「メアリーの好きなアルコールとチョコの組み合わせもいい。上出来だ」(マーサ)
一方、評価が良くなかったのはリチャードとナンシーです。
仕上げのシロップを即興で決めると話していたリチャードのクグロフは、「表面が結晶化していて光沢が無いから美味しそうに見えない」という評価に。
ナンシーのサヴァランは「過発酵だ。キメが不均一で穴や割れ目ができてる。」と評価され、ケーキに付けた南国風の飾りもプラスには働きませんでした。
オリジナルチャレンジ後のベイカーの感想は、
マーサ「味も見た目も食感も自信なかったけど成功してよかったわ」
ルイ「いまだにハラハラするよ。審査員が一口食べて評価を下すまで、数秒が30分に思える」
ナンシー「あの飾りつけは自分でも微妙だと思ってた。過去は忘れて前へ進むわ」
リチャード「トップも最下位も好きじゃない。中間で満足だよ」
テクニカルチャレンジ:プリンセストルタ

次に行われたテクニカルチャレンジの課題は、プリンセストルタでした。
「スウェーデンではお祝いの場に欠かせない。切ると現れるのが、下からジェノワーズ。次はジャムと絞り出しで縁取りしたカスタード。さらにスポンジ。その上にカスタードとクリームのミックス。またスポンジを重ねて生クリームを盛る。最後はこの緑のマジパンで覆う」とマーサ。
あまりの工程の多さに、思わずポールも「残酷な人だね」と返すほどのハイレベルな課題。
必要な材料は全部で26種類、14もの工程があり、かつてないほど複雑なテクニカルとなりました。
ケイト「これは大変」
ナンシー「知識が問われる」
マーサ「詳細がない」
カスタード作りにジャム作り、マジパンのバラ、スポンジも作らなくてはいけません。
マーサ「共立てスポンジはよく作るから大丈夫なはず。泡だて器を上げて3秒跡が残ればいい」
ナンシー「「レシピには”コーンフラワー、小麦粉、ベイキングパウダー”と。全部混ぜるわ」
ルイ「気泡を潰さないように円状にさっくり混ぜる」
ベイカーたちがケーキを覆う緑のマジパンの準備を進める頃、スポンジが膨らまなかったケイトは作り直しを決意。
一方チェトナも、
チェトナ「膨らんでない」
スー「やる直す?その間ほかを準備すればいい」
と、スポンジを作り直すことに。
リチャード「(スポンジを)もっと冷ましたいけど時間が足りない気がする」
ケイト「いつもは絶対に完全に冷めるまで切らない」
チェトナ「きっと間に合わない」
スポンジにカスタードやジャムを指示通りに重ねていきますが、複雑な工程と時間に追われます。
ルイ「十分に冷めてないと溶ける」
ケイト「待ってられない」
マーサ「なんて複雑なの」
ケーキをドーム状に組み立てた後、仕上げに緑のマジパンでケーキ全体を覆います。
ケイトは1枚で覆うと崩れると話し、上下で分けてマジパンを付けました。
チェトナもスポンジを作り直したことで時間がギリギリに。
チェトナ「ひどいわ」
ケイト「悲惨だわ」
複雑なケーキでしたが、無事に全員作り終えることができました。
評価と順位
今回の審査のポイントは、ドーム形の上面と明確な層、そしてチョコとバラのデコレーションです。
6位:ケイト(平らでマジパンが分かれている、カスタードが緩い)
5位:リチャード(全体的にやや雑だった)
4位:マーサ(悪くないがデコレーションは失敗だ)
3位:ルイ(チョコとバラが良かった)
2位:チェトナ(色も層もキレイ)
1位:ナンシー(美しいドーム形にデコレーションとバラ、お見事よ)
テクニカルチャレンジ終了後、「コツを知ってればそれほど難しくない。問題は知らない時。今回は知らなかった」とチャレンジの難しさを語ったナンシー。
チェトナは「褒められた。信じられない」と驚きリチャードは「あと30分あれば完璧だった」と話しました。
ケイトは「んー…」と、今回のケーキの出来に納得がいっていないようでした。
マスターピースチャレンジ:ドボシュトルタ

最後に行われるマスターピースチャレンジの課題はドボシュトルタ。
ドボシュトルタは薄い多層のスポンジとカラメル片が特徴で、今回は2段以上が求められます。
ポールは「伝統的には三角形のカラメル片だが、今回は何でもいい。5時間あるから本格的な細工を求める」、マーサは「一度見たら目を離せなくなるような、魅力的なものを見たい」とカラメル細工にも期待を寄せました。
- ナンシー
チョコとカラメルのドボシュトルタ - リチャード
あめ細工の森のドボシュトルタ - ルイ
丘の上の監獄 - ケイト
3段のドボシュトルタ - チェトナ
カラメルクリームとリキュールのトルタ - マーサ
チョコと塩カラメルのチェス風ドボシュトルタ
マーサ・リチャード・ケイト・ルイは卵を泡立てて作る無脂肪のスポンジを使い、チェトナはヴィクトリアスポンジを選択。
このケーキは、何枚も何枚も薄いスポンジを焼いていかないといけません。
スポンジとフィリングは均等の量にし、カットした際の美しい層が求められます。
カラメル細工にもベイカー達の工夫が表れていました。
「(ぶどうに)油を塗って爪楊枝を挿す。カラメルに浸して冷めてから抜くと袋ができる」とカラメルについて説明したチェトナは、マーサから「賢い」と褒められました。
カラメルは加熱し過ぎや加熱不足、かき混ぜるだけでも大惨事を招きます。
リチャードやケイトは途中でカラメルを作り直し、ナンシーも「カラメル細工は苦手なの」と不安を口にしました。
終了時間が近づき、チェトナは「何を考えてるの。パニックが始まった」と焦り、マーサは「ギリギリ間に合いそう」と作業を急ぎます。
一方でルイだけは制限時間より前にケーキを完成させていました。
マスターピースの評価では、ナンシーとチェトナが高い評価を受けました。
- ナンシーのチョコとカラメルのドボシュトルタ
「側面がそろっていてフィリングも均等で見事よ。気に入ったわ」(メアリー)
「ナッツがとても効果的だよ。プラリネもおいしい。トルタ全体が実に良く出来てる」(ポール) - チェトナのカラメルクリームとリキュールのトルタ
「よくこれだけのあめ細工を作ったね。層が見事だし味もいい。すばらしい出来だよ」(ポール)
「ブドウの裏技はみんながマネするわ。ヴィクトリア・スポンジと聞いて懐疑的だったけど成功してる」(メアリー)
ルイのドボシュトルタは味はいまいちだったものの、メアリーから「これはとてつもない力作ね。目を見張るわ。これぞマスターピースよ」とその素晴らしい見た目を絶賛されました。
マーサのドボシュトルタは見た目は凸凹だと言われましたが、全体の出来は見事と評価されました。
一方、リチャードとケイトは厳しい評価に。
リチャードは「見た目が残念」「スポンジがパサつく」、ケイトは「下段が好きじゃない」「カラメルが少ない」と言われてしまいました。
審査員はかつてない難しい判断を迫られます。
結果発表
スターベイカー

オリジナルとマスターピース、苦戦したテクニカルでも高評価だったチェトナが選ばれました。
「まだびっくりしてる。感激だわ。今までの努力が報われた気がする」と喜びを語りました。
脱落者
「今週は特に難しく、審査員の間で激しい議論が交わされました」とスーが話し始めると、メアリーとポールがそれぞれ今回の審査について語りました。
ポール「ケイトとリチャードは昨日まで互角だった。オリジナルはリチャードが発酵不足。ケイトのはパサついてた。テクニカルは、それぞれ5位と6位。マスターピースではケイトは不十分だった」
メアリー「カラメルはピスタチオの飾りだけで生地には使ってない。上2段はいいけど下段は不出来だった」
ポール「リチャードはカラメルは十分だったが全体の出来が未熟だった」
メアリー「確かに雑だったわ。でもカラメルは糸あめがあったし砕いたプラリネも敷いてた」
審査員の意見は平行線。
スー「ですがルールです。今日で去ることになる人は…、
いません!審査員が大喧嘩だったの。また来週よ。全員で会いましょう」
なんと今回は脱落者なし、というまさかの結果に。
メアリーは今回の結果について「覚えてる限り、今までで一番むずかしかったわ。ポールとは基準が同じだから大抵は意見が合う。だけど今回は真っ向から対立した」と話しました。
リチャード「かろうじて命拾いした。うれしいよ。来週はなんとか挽回したい」
ケイト「まだ動揺してる。そのうち落ち着くけど…最下位は苦手よ」
これまで2度スターベイカーに輝いたリチャードと、前回のスターベイカーであるケイト。
どちらも脱落することなく次週もまた6人全員で、というのは嬉しいサプライズでした!
今回はブリティッシュ・ベイクオフ シーズン5の第6週をご紹介しました。
次回は、『ブリティッシュベイクオフ マスタークラス』から今回のチャレンジで登場したお菓子の作り方を紹介します。